新規事業の立ち上げにキラキラしたイメージをもち、就活での面接でこのようなことを言っていませんか?
結論、これは現実を理解できていない状態である可能性があり、言わないほうが良いかもしれません。
本日は
新規事業に従事する/新しく事業を創るとはどういうことなのか。
を解説して、就活に活かすことができる仕事をする上で大事な考え方についてまとめていきます!
「うちの会社で何をやりたいの?」と聞かれたときに言いがちな「新規事業やりたい」とあほ丸出し就活生を脱却できるように理解を深めていきましょう!
目次
新規事業に従事することは難しいのか?
新規事業とはいわゆる事業を0から創ること。
難易度が高く感じ、「新規事業に関わってるよ」という先輩がいると「すごい~!」と感じる学生は非常に多いです。(私自身就活生に新規事業・会社をしていると言うといわれていました)
果たして、そもそも新規事業はすごいのか?考えてみましょう。
「創業と守成いずれが難きや」とは?
中国の古典『貞観政要』のなかで登場する「創業と守成いずれが難きや」という言葉があります。
簡単に言うと、
創業(何か/事業を創る)事の方が、守成(できた事業を守る/継続する)よりも難しい
という意味合いです。
しかし、この言葉が必ずしも正しいというわけではありません。
現代では、企業の生存率(登記して生き残る企業率)は登記から10年で10%(100社生まれても10年後に残っているのは10社)といわれているデータもありますので、そもそも企業(事業)を継続させることすら奇跡であるといっても過言ではありません。
貞観政要でも、創業と守成どちらがすごいのか議論される場面がありますが、結論は出ていません。
そして今もこの世の中で議論が続けられています。
ですので新規事業に関わるという事を考えるうえで大前提覚えておいていただきたいこととしては
「創業(新規事業)と守成(新規事業を拡大したり継続する事)どちらも難しい事であり、どちらがすごいなど答えはない」
という事です。
- キラキライメージ(新規事業はかっこいい)
- できる人は新規事業
このようなイメージだけ先行して、新規事業をしたいと言ってしまっていた人は「そもそも新規事業とは」の理解を深めてそれでも「やりたい!」と思えば、将来のキャリアイメージとして、面接官に伝えると良いでしょう!
それでは、具体的にイメージだけで新規事業をしたいと言ってしまう学生の例を次章で取り上げます。
新規事業に関わりたいという学生のよくある勘違い
新規事業をイメージだけで捉えてしまうことはある意味当然です。
就活時はなかなか社会のこともわかっていないという状況下なので仕方ない一方で、逆にしっかりと理解したうえで、話せる就活生はある意味「差別化」できるでしょう!
ここでは「新規事業」についての前提知識を整理しておきます。
前提知識・考え方が整っていると、言葉に説得力が生まれたり、本質理解できていれば効果的な情報収集にも繋がったりする為、かなり重要です。
まずは私が人事をしていて、よくある学生の言葉を挙げてみます。
- 学生のアルバイトで自ら新しい仕組みを考える事があったため、自分で考える事が好き!だからこそ、新規事業に関わりたい!
- ルーティンワークではなくて自ら考えて行動できるようになりたい!
- ベンチャー(成長フェーズにある)企業の為、早い段階で新規事業へ関わっていきたい!
このように「いずれ」経験したいという人や、起業の為に「学びたい」人など、学ぶことや新規事業をする事自体を手段として、「新規事業をしたい」という人は多いです。
しかしここで注意が必要!
言葉にはしないかもしれませんが、面接官(私も含め)は「考えが浅いね~」と心では思っています。
そして、新規事業をすることが目的や起業準備などという就活生に対して言いたいことは
「新規事業・起業したいなら、今したら?」
「学びたいなら、お金払ってよ」
こう思う企業・人事担当者は少なくないはずです。(私は思ってます)
新規事業をすることが目的になっている就活生の気持ちも分からなくもありません。
学生時代まではお金を払って、授業を受けてきた為「~してほしい」「~させてもらえる」という【受け身の姿勢】【与えてもらうのを待つ姿勢】は、大学までの教育を受けていれば多くの人が染みついてしまっていますいわば日本人のhow思考だからです。(How思考の記事はコチラ)
この考えでは社会人で苦労します!
本質的な話をすると、企業というのは【利益を出す場所(参照)】ですので、学ぶ場所ではありません。
成果を出せる為に企業は育成や研修をしてくれると思いますが、それありきで社会人になると受け身で新規事業どころか自分から発信ができないダメな社会人になってしまいます。
「会社は学校じゃねえんだよ」というドラマにもありますが、「会社にあれこれ求めてしまう」文化は現代では非常に多い文化となってしまっています。
確かに会社が社員を大事にするのは大事です。しかしこの「与えてもらう精神」を容認しすぎてしまうと受け身で、自ら行動する若者は間違いなく減りますので、当記事では言葉を選ばずに事実をお伝えしています。
さて新規事業に話を戻すと、
- 新規事業とは与えられるものではない
- 【受け身姿勢】であるまま新規事業なんて言葉を口にするのは、仕事というものをそもそも理解しきれていないも同然
- 会社や仕事に期待しすぎるのではなく学生起業するくらいの覚悟は必要
というわけです。
新規事業はベンチャー企業などこれからの企業であれば「任せられる」要素はあるかもしれませんが、本当の意味でないものから創っていくのが新規事業であるので、大変であることは間違いありません。
- どんな方向性に事業を進めていくのか
- 誰がターゲットになるのか
- ビジネスコンセプトや競争優位性は何なのか
- 他社と分析(3C分析など)
- 営業はどのようにするのか、数字は上がるのか
- オフィスを借りなければいけない?
- 備品はなにが必要?
- PCはどんなセッティングが必要?
- そもそも新規事業にいきなり評価制度なんてない
- どこまでやればどれくらい給与があがるかどうか、も創らなければいけない
- ワークライフバランスを重視するなら新規事業の立上は不可能
など、一般的に就職すると当たり前にあるものがなかったりすることはザラにあります。
就活をする人は全員、仕事が準備されている前提で就活をしているはずですのでこのイメージをしていないとかなりギャップがあるでしょう。
売れるかも分からない。もしかしたら新規事業の為に2000万円出資してもらっても大赤字を出すことも。事業を潰すこともあるかもしれない。
ですので、就活時によくいうワークライフバランスや休日など、普通の労働環境であることの方が少ないです。
企業の生存率が低いのと同じで、事業も継続できるものの方が少ないので身を粉にして事業成功できるように遂行していかなければなりません。
新規事業のために結局、何をやれば良いの?
少しは新規事業の厳しさを理解していただけているとうれしいです。
ここまでつらつらと自由に書いてきましたが皆さんこう感じているはずです。
結局どうすれば良いんだ
はい、ありがとうございます。
それに対して回答をしておくと
そもそもどうすれば良いんだというマインド自体に問題があります。
また上から目線の言葉にイラっとしましたね。
「どうすれば良い」
この質問には答えを知りたいマインド(how思考)が含まれており、新規事業や起業をする思考法ではありません。
新規事業に答えはありません。答えを自分で創っていかなければなりませんのでまずはHow思考を始め、考え方からブラッシュアップすると良いでしょう!
とはいえ社会人経験のない就活生だと、なかなか答えを創るなんて難しいです。
少し手を差し伸べるのであれば
起業したいなら今、起業しましょう。
情報は沢山転がっています。できない理由を並べ立てる人は多いですが、初期費用が少なくても出来ることは沢山あります。
それが怖くて就職という選択をするのであれば、起業が目標という発想は辞めたほうが良いでしょう。
起業は目的ではなくて手段です。
- 社会に~~のような貢献をしたいから起業せざるを得なかった
- 収入を爆発的にあげたかったから起業という選択肢しかなかった
- より多くの若い人に良いキャリアを提供できる会社を作りたかったから、起業という選択肢しかなかった
このように起業や新規事業はゴールではなく、なにかしらの目的に到達するための手段の一つです。
この大前提がずれてしまっていると、手段が目的化してしまって、なかなか目的(自分が求めるもの)が達成できない人生になってしまいます。
新規事業のために結局、何を話せばよい?その②
そんなお声が飛んできそうです。
すみません、まともに回答していきます。
新規事業をしたい人へ|目的を明確にする
- 将来起業したい。
- 将来新規事業をしたい。
そんな人はまずは、その目的を明確にしましょう。
起業や新規事業はHowであり、その根底にあるWhyを就活では求められます。
それが
- 社会貢献なのか
- お金を稼ぎたいのか/稼いでどうするのか
- どんな人物になりたいのか。
この目的があるからこそ手段を明確にできて、自分の受ける企業を受ける理由にもなるのです。
このWhyがない人は手段ばかり求める典型的な活躍できない人材です。そしてwhyが薄い人は苦しいこと・壁にぶつかったときにすぐに折れてしまいます。
新規事業をしたい人へ|あなたを採用する理由を考える
二つ目は、起業や新規事業をしたいのは自由だが、「いずれ会社を辞める」と言っている前提の人を人事担当者が採用する理由を考えましょう。
「ベンチャー企業で学んでいずれは独立します!」
こんな人、正直いりません。
新規事業であれば社内でできるかもしれませんが、会社も手段として新規事業の立上を行っています。勢いのある会社に行って「御社は新規事業を沢山作っている為、自分もその波に乗りたい!」これはあほ丸出し。
新規事業立上は、会社の何かしらの課題解決や、更なる成長の手段として行います。
- 事業に課題がある場合に、新しいビジネスモデルを展開して、企業価値を高める・会社課題を解決する
- 現行の事業だけでは市場で勝ちきれない可能性がある。その為新規事業を創り出し、競合から優位性を持てるビジネス展開をする
このように、企業側も手段として新規事業をしていることが理解出来ていると、軽々しく「新規事業したいです!」なんてあほ面してどや顔で成長意欲アピールすることはなくなるでしょう。
また本当に独立したいと思っている人は、「思っていても言わない」という選択肢がベストであるだと思います。
思ってること言わないと気が済まない!嘘つきつきたくない!
それはあなたのエゴです。本音も大事ですが相手の気持ちを汲み取り発言を考えることは特に起業や新規事業をする際の「相手の気持ちを汲み取り事業拡大(営業)」する上では大前提必須です。あなたのエゴよりも事業成功の方が大事に決まっています。
それでも「思ってることを素直に言いたい」という人は仕事の本質を理解していませんので、どうぞ思ったことを正直に伝えましょう。おそらく内定率はガクっと下がります。
そもそも多くの人が「良い企業」と言われる企業はマーケティングにせよ、営業にせよ競合と競争しながらも勝ってきたからこそ大手企業になっています。
大手企業の多くは「エゴではなく相手の気持ちを汲み取り利益が最大化となる手法」をこれまで選択してきているので、皆さんからしたら良い部分を発信しているかもしれませんが、デメリットや弱点を多くの企業は隠している為、エゴを大事にしたい人はそもそもビジネスでうまくいかない世の中になっているのです。
新規事業をしたい人へ|エゴだけでは通用しないこともある
大前提日本は競争国家です。
勝たねば負ける社会です。その前提がある以上、自分のエゴは押し殺して成果(利益)を追求しなければいけない場面は多々あると思っておきましょう。
起業や新規事業に携わるのであれば余計です。大手企業であれば王道のやり方で勝てるかもしれませんが大手企業になるまでは様々な手法を使って勝っていかなければなりません。
やる事も膨大で、なにもかも考えていかなければいけなくて、かつ自分の感情よりも成果を優先しなければいけない。
体力的にも精神的にも大変であることは間違いありません。その覚悟と決意は「新規事業や起業」を志すのであれば覚えておいた方が良いでしょう。
新規事業は大変。でもやっぱり面白い。
ここまで新規事業大変だよ。
覚悟しろよ
という事を伝えたかったのですがもちろん、悪いことばかりではありません。私自身事業の立上や現在も会社経営をする中で、従業員として働くよりやっぱり面白いと思っています。
- チャレンジする人が少ない・人間性も求められる為、経験としても間違いなくプラスになる事
- リターン(報酬面や役職)も成果に見合うものである可能性が高い
など新規事業に従事していくことでプラスになることは間違いなく多いです。もしうまくいかなかったとしてもまたやり直せばよいのです!失敗なんて言葉は成功するためにあるので、失敗して一回で諦めれば失敗で終わりますが失敗しても成功するまで続けてしまえば、それは「良い失敗」に変わります。
ようは一つの失敗を「だめだった失敗」にするも「成功のもとになった失敗」にするかどうかは自分次第という話。
また、新規事業や起業は厳しいことが山ほどあります。成功後のキラキラしたイメージだけ持つのは大変危険。
プロセスにある厳しさを前提として理解しないまま、良い部分だけをイメージして「自分でやりたい」と言っている人は苦しむかと思うので、今回の記事では厳しさを多めにお伝えしていきました。
新規事業をやらない人でも、
当記事の仕事に対する価値観【受け身ではなく、仕事を創っていく】という姿勢は、どの仕事でも間違いなく重要で、よりステップアップしたいと思っている人も覚えておいていただきたい内容です。
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